墨田住人の備忘録

色々な情報に接して得心することは多いけれども、40を過ぎてからすぐに忘れてしまうので備忘録として書こうと思う。

臥竜梅

 亀戸は梅が有名で、数年前には「亀戸梅屋敷」という観光案内所を作っている。

 

 亀戸は江東区だけれども、墨田区との境はかなり出っ張って入り込んでいるので、文花とか立花辺りだと亀戸も充分に近く馴染み深いエリアである。小村井駅から明治通りをまっすぐ歩けば、10分もしないうちに亀戸に入る。

 亀戸天神の裏辺りにはその昔に亀戸梅屋敷と呼ばれる梅の名所があった。それだけでなく、昔の本所区向島区辺りにはにはいくつもの梅林があったとのことである。子供が小学校に上がるときに墨田区の小学校リストを見ていると、小梅小学校というのがあったのを覚えている。今では小梅という町名は無いが、梅の名前がつくほどに名物であったようだ。

 亀戸天神の裏の浅草通りに梅屋敷の跡地の標識がある。

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 臥竜梅は水戸光圀の命名で、江戸時代には時の将軍から庶民まで梅の季節には多くの人で賑わっていたとのこと。当時の様子を残した歌川広重の見事な浮世絵は、一度見ただけで忘れられないインパクトがある。ゴッホが模写したことでも有名なので、人種や時代を問わずに見るものを惹き付けるということなのだろう。

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 江戸時代の浮世絵師と言えば、墨田区では何と言っても葛飾北斎が郷土の英雄であり、現在北斎美術館を建設中である。その北斎にも亀戸を描いたものがある。亀戸天神のご開帳に母娘が参拝に訪れた時の様子で、今でも名物である藤の花が満開である。

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 亀戸天神には今でも梅はあるけれども、名所と呼ぶほどのものではないように思う。小村井の近くにある香取神社の方が今では名所になっているようである。規模は小さいけれども、なかなか多種多様の梅を見ることができるので、梅祭りのシーズンにはそこそこの賑わいを見せている。今の時代は桜に比べると梅はマイナーな存在になっているが、梅が咲く頃には香取神社の傍を通るだけでほのかな香りが漂ってくるというのがなかなか乙だと思う。